文化社会学部 2020
32/56

教員Message30古来からの優れた文学や映像を通し、物語の持つ力と構造を学び、自分自身の「物語」をつくり上げていく能力を養います。新入学生が十数人からなるグループ(ゼミ)に分かれて、担当教員の指導の下、学科での勉学の基礎固めをします。基礎的な文学史と世界史を学び、人間が固有の「ことば」の力と「想像力」によって、何を生み出し、社会とどうつながっていったのかを考えます。上代から中世にかけての日本の文学を読み解き、作品に登場する出来事から現代との接点を考えて、日本文学の変遷について学びます。文学を理解する上で欠かせない、しかし、とっつきにくい印象のある文芸批評の世界を分かりやすく解説します。古今東西の名作小説を読み、作品ごとの違いを感じ、作家の意図やテーマ、表現技法を学ぶことで、文学の多様性を理解します。創作は自ら考えることなしにはできません。よりよく考えるために、人類が育んできた哲学的思考を学びます。約1世紀に及ぶ映画の歴史を学び、その変遷を通して偉大な才能たちがどのような試行錯誤をくりひろげてきたかを追跡し、映画の魅惑の原点を探ります。編集の本質とは何か、ケーススタディで学びます。また、電子書籍と紙媒体の本との共存共栄についても考えます。 私たちは物語る動物です。もし、歴史から物語を取り去ったら、「人類」は消えてなくなるでしょう。 皆さんにはこの学科で、神話時代から現代まで、人類が何を喜びとし、何を悲しみとしてきたか、あるいは、いかなる苦難に遭遇し、それを物語り、聴くことで克服し、幸福への道をさし示そうとしてきたか、これら文学的営為の魅力と貴さについて、学んでほしい。古典をただ外側から撫でるのではなく、古典を素材とした翻案小説を書くことで、内側から日本の文化伝統と交わります。文章表現の背後にある社会や時代にも目を向けつつ、多様なアプローチで文章の特質が何なのか理解します。「演劇」の成り立ちの歴史を具体例に即してたどり、演劇の本質を理論と実践の両面から掌握します。柳田國男が創始した民俗学の歴史的な成り立ちと方法論を学び、前近代における村のあり方や、宗教や異界について考えます。4年間のしめくくり 卒業制作発表会にてストーリーを発見する文芸創作入門ワークショップ文学の遠近法(創作のための文学史)日本の古典を読む文芸批評入門学科導入科目から、レクチャーとワークショップに分類される基礎科目、創作系・評論系・編集系の3つに分かれる発展科目、卒業制作ワークショップへと、段階的に学んでいきます。世界の文学を読むA・B人間とは何か(哲学入門)映画史入門編集と出版日本の古典ワークショップ文章と表現演劇ワークショップ民俗学入門辻原 登 作家・名誉教授 1945年、和歌山県生まれ。1990年、『村の名前』で芥川賞を受賞。小説作品に『翔べ麒麟』『遊動亭円木』『枯葉の中の青い炎』『父、断章』『冬の旅』『籠の鸚鵡』。評論作品に『東京大学で世界文学を学ぶ』『熱い読書 冷たい読書』などがある。 本学科の創設にかかわり、2001年から2007年まで学科主任をつとめた。現在、県立神奈川近代文学館館長。主な専攻科目「文学の宇ユニヴァース宙」への第一歩

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る