文学部(改)2020
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37歴史学科 考古学専攻活用して研究することで、かつての生活の様子や人々の交流についてのヒントを得ることができます。このことは私が抱いていた考古学のイメージとは異なり、考古学の学問領域が自分の生活の中にもあることを知りました。 夏期休暇には発掘調査にも参加しました。はじめは分からないことばかりで戸惑うことも多く、遺跡を壊さないように掘るのは大変でしたが、とても充実した時間を過ごすことができました。考古学を学ぶことで、今まで学校で習ってきた歴史とは違った角度から昔の人々の暮らしを考えてみませんか?のが、なぜその場所にあるのか、なぜそのような形をしているのか考えることが面白いと感じることができたからです。ただ発掘するだけではなく、その遺跡と向き合い、考えることができたのはそれまでの調査現場で培った経験があったからこその成長だと思います。 考古学専攻に入学した当初は、何も分からない状態から始まるのが普通です。自分から進んで経験を積むことで必ず得るものがあります。大学での4年間を無駄にしないためにも自分の興味を持ったことは積極的にやっていくことです。それがきっと成長につながるでしょう。そしてうそ偽りのない「情報」。この2点がいかに重要であるかを学びました。現在は考古学と深くかかわりのある職業についているわけではありませんが、「モノ」と「情報」を大切にしています。一つの出来事には必ず「モノ」と「情報」があり、これを誤って認識すると、180度間違った方向に導かれることもあります。多くの「モノ」に触れ、正しい「情報」を基に学べる環境があり、間違った方向に進みそうになると修正を促してくれる先生方がいる東海大学。考古学そして卒業後の生き方を学ぶ上でも最適な環境でした。考古学専攻の先輩たちは考古学の専門知識を生かし、全国の教育委員会の文化財担当者や埋蔵文化財センターなど専門性を生かした職業に就いて活躍しています。考古学を学んでいる在学生や卒業生からのメッセージを紹介します。齊藤 巧真さん 3年次常磐大学高等学校(茨城県)出身小峰 彩椰さん 3年次相洋高等学校(神奈川県)出身大沼 巧冬さん 2014年度卒業株式会社ヒガシトゥエンティワン新たな視点を与えてくれる考古学 皆さんは考古学についてどのようなイメージをお持ちですか? 私は「発掘調査で出土した土器や石器などの情報をもとに、文献史料のない時代について研究する学問」というイメージをもっていました。授業では、教科書や博物館でしか見たことのなかった土器や石器を実際に触れる機会もあり、高校までの学びとは異なり驚きましたが、触ることでしか分からないこともたくさんありました。また、考古学はほかの学問分野の考え方を応用する学問でもあります。火山灰や昆虫など、考古学とは無縁に思えるようなことを扱う学問を経験は自分を育てる 入学してから現在までに4か所の発掘調査の現場に参加しました。1年次で初めて参加した西表島の調査では、バカンスに行く気分でいました。実際には、亜熱帯地域特有の気候で蒸し暑く、発掘調査の準備が多く、バカンスどころではありませんでした。そしてやっと発掘作業ができる喜びのあまり、事前に勉強した遺跡の概要をほとんど忘れた状態でひたすら掘っていたことを覚えています。しかし、2年次の実習も兼ねた4か所目のアルメニア共和国での発掘調査において、遺跡に対する意識が変わりました。発掘して出土したもきっかけは「面白そう」。ただそれだけでした 大学で何を学ぶべきか悩んでいたころ、ふとテレビをつけると世界中の遺跡を取り上げた考古学の特別番組が放映されていました。その時、こんな世界もあるのかと思い、東海大学の考古学専攻を志望しました。「面白そう」というだけの理由で入学し、考古学の知識もほとんどない状態で授業にのぞみましたが、先生方の講義は分かりやすく、かつ考古学に対する熱意が私たち学生にもよく伝わってきました。 こうしたなかで、私自身が強く感じたことがあります。それは「モノと情報の大切さ」です。先人が遺し、発掘・研究されてきた「モノ」。先輩からのメッセージ

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