マナビゲーション2022
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人類の存続にもかかわる重要な分野を研究したい。環境や生命の不思議をもっと知りたい。人口増加、資源の枯渇、地球温暖化や環境破壊など、地球はいまだかつてない危機にさらされている。一昨年アメリカを襲った記録的な寒波や、昨年秋日本国内に甚大な被害をもたらした台風などは、地球温暖化の影響とも言われている。  これらの危機をもたらしたのは、ほかならぬ私たち人類だ。私たちは、技術革新によって便利な生活を手に入れたが、同時に地球環境に大きな負荷をかけてきた。人類の発展と環境保全をいかに両立させるか。これは文明社会に生きるわれわれの究極の課題だ。 物事には良い面と悪い面がある。われわれ人類が未来に向けて発展し続けていくためには、こうした相反する問題をいかに両立させ、最適化するかを探っていかなければならない。地球環境や生命を守り、持続可能な発展を続けていくこと。そのために、学ばなければならないことは実に広範だ。 これまでの理系、文系という分類を越え、生命・環境・物質・生物・地理・エネルギーまで幅広い知識をもち、それらを横断的に関連付けながら、問題発見から解決に至るまでの力を身につけたい。大学では「生命環境科学」と銘打った学部や学科の設置が相次いでいる。コース内容は大学によってさまざまで、基礎生命科学、生物資源科学、遺伝子工学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、都市計画、森林科学、生活環境科学、エネルギー問題など、細分化、高度化している。いずれも人類の存続にもかかわる分野だけに、大学では、技術者としての知識だけでなく、倫理観や社会的責任、国際的な視野を持つ人間性の育成にも力を入れている。大学で学ぶことがあまりに広範すぎて、実社会でどんな役に立つのかイメージできないかもしれないが、ガンやエイズなど治療が難しい病気を遺伝子治療で治す方法を研究したり、人工臓器、人工血管、人工軟骨などの材料となる、人体内で拒絶反応を起こさない素材(バイオマテリアル)の開発、廃棄する魚のウロコからコラーゲンを抽出する研究など、案外身近なところで役立っている。 将来の進路は、「環境」という社会全体にかかわる分野だけに、食品、製薬、化学工業などのバイオ関係、官公庁専門職、教育関係、研究職はもちろんのこと、製造業、流通、サービス業などさまざまな活躍の場が期待される。理学部化学科 3年須永 朔弥 大学でより深く・広い視点で化学と向き合えたことによって、面白さを実感。と同時に、危険な薬品を扱う以上、無責任であってはいけないのだと痛感しました。また、化学は知識蓄積型の学問ですが、膨大な知識の吸収だけでは創造的な研究はできません。新しい物質や現象に出会ったとき、その本質を見抜く力、既知の知識との一致・不一致を正しく捉える思考力が重要です。そんな化学の面白さを後進に伝えたいです。どんな世界?何を学ぶ?どこで学ぶ?どんな仕事?城西大学の先輩インタビュー ▶▶▶私たちは豊かな生活とひきかえに、地球環境に負担をかけてきた。これ以上の環境破壊を食い止め、持続可能な発展を続けるために、生命・環境・物質・生物・地理・エネルギーまで幅広い知識を備え、環境問題に真剣に取り組む人材が求められている。27実験実習通して得た化学と向き合う責任感と本質を見抜く思考力14

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