マナビゲーション2022
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環境問題に役立てたい!大好きな数学を数学で環境問題を解決したい。最近「ビッグデータ」という言葉をニュースなどで聞いたことはないだろうか。「ビッグデータ」とはインターネットやコンピュータの普及によって集積された巨大なデジタルデータのこと。これを社会・経済問題の解決や企業のサービス向上に役立てる研究が盛んになっている。 たとえば、高速道路にセンサーやカメラを設置して交通量をモニタリングし、詳細なデータを取得する。それを解析することで、交通渋滞のシミュレーションが時間帯ごとに正確に計算できる。その情報と信号機の制御とを連動させることで、交通渋滞を緩和する。ほかには、田畑に気象センサーを設置し、気象データと収穫量や品質などのデータとの関係を把握する。その情報を、気象の影響に左右されがちな農業の効率化や収益性向上に活かす、といった研究だ。 このように、大量のデータを数学・数理科学の手法で解析し、通信技術やネットワーク技術など他分野の知識と連携することで、さまざまな問題解決に役立てようとする試みが盛んになっている。数理科学とは、数学や物理学を工学的に応用して、効率的なシステムを構築したり、そのシステムを制御する理論や技術などを研究する学問分野だ。私たちを取り巻く環境をうまくコントロールすることも大きな研究テーマとなっている。 たとえば生態系がどのように機能しているかを解明したり、適切な環境システムを設計・構築したり、環境汚染物質の状態を計測して生態へ及ぼす影響の評価と予測を行ったりと、自然と人間の共生システムをテーマとした研究に取り組んでいる。数理科学を学べる学科は多いが、その名称は実にさまざまだ。学問的には、応用数学系や応用物理系に分類されることが多いが、情報科学系や環境科学系で、数理科学を用いて環境問題に取り組んでいる学科もある。キーワードとしては、「数理」「制御」「システム」「計測」「環境」「情報」などがあげられる。これらを冠する学科の内容をチェックしたい。 また、数理科学は内包する学問領域が幅広く、数理科学が学べる学科だからといって、すべてが環境問題の研究に取り組んでいるわけではない。研究室の研究テーマなどをよく調べて、環境問題に力を入れている学科選びをすることが大切だ。環境問題にはさまざまな課題があるだけに、自分が取り組みたいテーマをしっかり検討しておくこともポイントだ。理学部 数学科どんな世界?どう学ぶ?どう選ぶ?城西大学で学ぶなら ▶▶▶環境、エネルギー、食料、異常気象や災害など、人類はいまだかつてない大きな問題に直面している。「数学なんて社会で役に立つの?」とはよく聞かれる問いだが、これら複雑な問題を解決するために、数学や、数理科学と呼ばれる分野に期待が集まっている。世の中を数学で理解する「シミュレーション・サイエンス」 世の中の自然現象や社会現象は、数式(モデル)を使って表現することができます。例えば、自然災害、感染症の流行、高速道路の渋滞、株価の変動などが主な例です。人類は、これらの現象の原理を解明するとともに、その原理を利用して、再生可能エネルギーシステム、航空機、金融商品などをつくり出しています。目に見える現象をモデル化し、計算機内部のデータに変換して利用する方法がシミュレーション・サイエンスです。これは、微分積分学、線型代数学、統計数学などの数学に基礎をおき、情報技術によって実現される学問です。2815

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