マナビゲーション2022
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日本の「食」の安全を守り、人々の健康を支えたい。食の安全に興味がある。大手カレーチェーン店が廃棄処分にした食材が不正に転売され、スーパーなどで売られていた事件から、はや数年。また数年前には、冷凍食品の製造過程で毒物が混入した事件も発生。ほかにも食材の産地偽装や遺伝子組換食材の使用など、「食」のトラブルは後を絶たない。私たちが口にしている食材は、本当に安全なのだろうか。 日本は世界中の食材を口にできる恵まれた環境にあるが、食料の国内生産額は10.3兆円、それを国内消費仕向額15.8兆円で割ると、66%にとどまっている(農業物価統計・令和元年概算)。ちなみにカロリーベースの食料自給率は38%! つまりカロリーの60%以上を海外からの食材に頼っているわけで、これは先進国の中でも最低の水準だ。またかつては生鮮野菜・肉・魚を買ってきて調理していたが、一般家庭に加工食品が普及し、惣菜や調理済みの食材を利用することも増えたことから、食品が人の口に入る経路・経緯も多様化。食の知識を持ち、安全・安心を守る人材が今、必要とされている。「食」の専門家に求められるのは、食と健康、食料を取り巻く環境問題、加工・調理や成分分析技術、フードサービスビジネスなど、「食」に関する幅広い専門知識と、現場で応用していく実践力。社会の動きに敏感でいることも必要になる。 専門資格は、食品衛生監視員、食品衛生管理者、フードスペシャリストなど。 中でも食品衛生監視員は、全国の主要な海・空港の検疫所で、輸入食品の安全監視、検査、検疫などに携わる国家公務員。2012年度から人事院で採用試験が行われており、合格率は50%に届かず……。狭き門だが、特に女性に人気が高く、受験数・合格者数とも半数以上を占めている。 その他の進路は、食品の分析・開発から流通・販売まで幅広い。具体的には食品会社・化学品製造業、製薬業、研究所、官公庁(保健所など)、分析センター、流通業(卸・小売)、外食産業などがある。食を学べる学部・学科には、大きく分けて栄養学系と農学系がある。栄養学系は、栄養と健康・疾病との関係などを総合的に研究。特に食品科学系は、食品の成分から栄養・機能、製造、品質管理、流通・消費など幅広い内容を学ぶ。一方農学系では、たとえば地球規模の食糧問題を見据えた食料増産技術や、有機・無農薬農法の研究など、生産効率や食材の分析・研究開発、流通などを中心に学ぶ。いずれの場合も講義だけではなく、実験や実習、海外研修など実践的な学びが中心だ。薬学部 医療栄養学科どんな世界?適性は?どこで学ぶ?城西大学で学ぶなら ▶▶▶人は毎日食事を摂る。日々の「食」への関心は、健康に生きるための当然の心がけだ。「食」のグローバル化が進む中、その安全・安心の確保はどんどん難しくなっている。今口にしている食材が本当に安全かどうか、どうすれば知ることができるのだろう?食品が体に及ぼす影響について学び、薬膳料理にも挑戦。 「well-being(よりよく生きる)」をポリシーに、食べる人・使う人・服用する人の視点に立って、食品・化粧品・医薬品をプロデュ-スできる人材を育成。人の体と化学物質の関係を総合的に学べる学科です。3つの分野を相互横断しながら学び、薬学科、薬科学科とも密接に連携したカリキュラムを用意。「食」分野の授業には、食品が体に及ぼす影響を考え、食品と薬品の中間に位置する機能性食品について学ぶ「機能性食品科学」や、病気の予防や回復を助け、健康維持に効果がある薬膳料理について学ぶ「薬膳・機能性食品科学実習」などがあります。2916

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