マナビゲーション2022
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肌を健康に保つ化粧品に興味がある。テレビのCMや広告ポスターなどで、ほぼ毎日のように目にする化粧品。もともと宣伝・広告費の割合が高い(食料品に次いで国内2位)業界ではあるが、某経済研究所の調査によると、2018年度の国内化粧品市場規模は、前年度比4%増の2兆7,800億円(ブランドメーカー出荷金額ベース)とここ数年着実に成長を遂げている。また大手化粧品メーカー以外にも中小メーカーが多く存在。加えて製薬や食品、フィルム業界などからの参入もあり、さまざまな商品が開発されているのが現状だ。 化粧品とは、体を清潔にしたり、見た目を美しくする目的で、皮膚などに使用するもの。スキンケア用の基礎化粧品から、口紅やファンデーションなどのメイクアップ用、シャンプー・リンスなどのヘアケア用、ボディ用、フレグランス、男性用化粧品など商品は多岐にわたる。 シャンプーや石けんなど、すぐ洗い流す洗浄剤を除くと、化粧品は皮膚や毛髪など体に長時間つけるもののため、成分と体質が合わないと、皮膚のかぶれや肌荒れなどのトラブルが発生する場合がある。近年、アンチエイジングやスカルプケアなど、皮膚生理に働きかけて健康に保つことを目的とした「機能性化粧品」が話題を集めているが、強い生理効果を持つだけに、安全性をチェックしたり、開発・製造・販売の知識がある専門家の存在は、一層重要になっている。化粧品を有効・安全に使用するためには、その良い点と悪い点を使用者に正しく伝える必要がある。加えて乾燥肌・敏感肌など肌の状態は人それぞれ違うため、使用者にあった化粧の仕方と化粧品があることも理解しなければならない。この業界をめざすなら、健康な肌(皮膚)と病的な肌の形態と機能、さらに化学物質としての化粧品の知識を備え、最適使用法を提案できる能力が求められる。 化粧品の商品企画・開発に携わるなら、化粧品メーカーなどの研究分野や製造分野に進むのが一般的。研究職以外では、デパート・専門店、ドラッグストアなどの売場やお客様相談室などで、ビューティーアドバイザー、ヘルスケアアドバイザーとして専門知識を活かす道もある。化粧品は化学物質でできているため、専門知識を身につけるには化学系の学部・学科が近道だろう。具体的には薬学部(薬科学科)、工学部(工業化学系、生物化学系など)、理学部(化学科)、農学部などが考えられる。カリキュラムや研究内容、卒業生の進路などから調べてみよう。薬学部薬科学科 4年藤田 彩未 2年次に受講した「化粧品・香粧品学A」では、皮膚の構造や化粧品の正しい使い方を学びました。例えば約28日周期で肌の細胞が新しく生まれ変わる「ターンオーバー」は、その現象は聞いたことがあっても原理を学ぶのは初めて。私たちの生活に直接つながる学びの多さが、この学問の特徴です。私も乾燥や顔色が暗いことが悩みなので、今後の勉強を通じて解決策を見出していきたいです。化粧品を開発したい。どんな世界?なるには?どこで学ぶ?城西大学の先輩インタビュー ▶▶▶約2兆6,000億円の市場規模を持つ日本の化粧品業界。女性向けから男性向け、さらにはアンチエイジングなど、ニーズに合わせてさまざまな商品の開発が進む。機能面に注目が集まる一方、肌に直接つけるものだけに安全性への関心は高く、専門家が求められている。30皮膚の構造や化粧品の勉強は、私たちの生活に密接したものばかり17

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