マナビゲーション2022
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人々の生活を支えたい。社会の安全・安心を守り公務員になりたい。公務員は日本国憲法に規定された職種で、国または地方公共団体で働くすべての人を指す。政府及び独立行政法人に属する公務員が「国家公務員」、地方公共団体に属する公務員が「地方公務員」。さらに職種により、特別職と一般職に分けられる。特別職は、選挙によって選ばれる国会議員や各都道府県知事、地方議会議員などや、総理大臣・知事などに任命される国務大臣や副知事、さらには裁判官、国会議員、宮内庁の幹部職員など。それ以外の採用試験によって任命される職員すべてが一般職で、事務職員はもちろん、行政官や外交官、税務職員、検察官などの専門職員も含まれる。国家・地方をあわせた公務員は約333万人で、このうち国家公務員は約58.6万人(一般職は約28.8万人)に上る(人事院平成31年度統計)。 公務員=役場で働く人のイメージが強いかもしれないが、実際は職務に応じてさまざまな役割を担っている。たとえばキミたちの学校が市立や県立高校なら担任の先生も校長先生も地方公務員だ(国立校は国家公務員)。また県立・市立病院に勤務する医師、看護師、専門スタッフ、事務職員なども地方公務員だし、警察官なら階級が警視正以上は国家公務員、それ以外は地方公務員となる。ほかにも消防署、保健所、福祉施設など、公的施設に勤務する人はすべて公務員である。 公務員は、国民の生活や福祉の向上をはかり、国や地方行政を運営していく役割を担っている。企業の目的が利益を追求することであるのに対し、公務員は社会に奉仕する大きな責任を負っており、公正な見方や考え方が要求される。国際化、高度情報化、少子高齢化など社会が変化するにつれ、人々が行政に求めるニーズも多岐にわたっており、公務員はこれら国・地方全体の課題に果敢に取り組んでいくことが期待されている。これからの公務員には、今までの仕事をただ引き継ぐという受身の姿勢ではなく、社会全体のために自分の能力を活かすという強い意志と、創造力・行動力が要求される。国の政策の立案に携わりたい、自分の住んでいる地域をもっとよくしたい、誰もが幸福で住みやすい町にしたい…日本・地域全体のことを考え、行動するスケールの大きな仕事、やりがいのある仕事と言えよう。国家公務員、地方公務員になるには、年1回実施される公務員試験を受けなければならない。受験に必要な出願条件等はなく、どの学部・学科でも受験できる(専門職を除く)。国家・地方いずれをめざすにせよ、チャンスはほぼ年1回なので、高倍率になるのは必至。そのため、十分な準備・対策が不可欠だ。各大学では、カリキュラムの中に試験に対応する科目を組み入れたり、「公務員ガイダンス」や「公務員試験対策講座」などを行い試験に備えている。 大学(大学院)卒業程度(2020年度)の国家公務員の場合、総合職、一般職、専門職(航空管制官、法務省専門職員、国税専門官、労働基準監督官、財務専門官、皇室護衛官、食品衛生監視員)があり、試験区分は「政治・国際」「法律」「経済」「人間科学」「工学」「数理科学・物理・地球科学」「化学・生物・薬学」「農業科学・水産」「農業農村工学」「森林・自然環境」の10。第一次試験で基礎能力試験と専門試験、第2次試験で専門試験、政策論文試験、人物試験が課され、高得点順に採用候補者名簿に記載される。その後各省庁が行う面接などを経て、採用が決定する。どんな世界?適性は?なるには?公務員は各省庁や役所、公的機関などで働いている人の総称。利益追求ではなく、国民や地域の人々の生活や福祉の向上をはかり、現代社会の抱えている課題に果敢に挑む、やりがいの大きい仕事だ。安定性から学生の人気も高く、試験対策に注力している大学も多い。3824

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