総合案内 2022
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何を学ぶか医学と工学の橋渡しをする臨床工学技士どう学ぶか医学と工学の領域を並行して学習1年次 1年次 健康医療科学部臨床工学科生命維持管理装置などの医療機器を扱う臨床工学技士は、医療、電気・電子工学、機械工学、情報工学など、医学分野と工学分野に渡る広範囲な知識と技術が求められています。おもに取り扱う生命維持管理装置の中には人工呼吸器・人工心肺装置・血液浄化装置などがあります。これらは、手術・集中治療・血液浄化・心血管カテーテル・医療機器管理など病院内のさまざまな領域や部署で利用されており、チーム医療の基本である医療スタッフや患者とのコミュニケーション力も問われるところです。医学領域では「医学概論」「解剖学」「生理学」など、工学領域では「電気工学」「応用数学」などの科目があります。前期の「医用工学概論」は医学・生物学と工学の境界領域となる科目です。生物・医学への工学的アプローチや、現在の医療で使用される計測・診断機器の概要を学びます。後期の「基礎医学実習」では、人体模型などを使い、器官の位置関係を立体的に学びます。解剖実習もあり、「解剖学」や「生理学」の講義で学んだ知識を目や手を使って確認します。「情報処理工学」では、ハードウェアやネットワークなどの基礎を学びます。2年次 2年次 「生体計測機器学」「医用治療機器学」など医療機器を理解するうえで基盤となる科目について、講義と実習を組み合わせ、知識と実践が結びつくよう編成しています。「生体機能代行装置学」では、生命維持管理特色ある学び蓄積された工学教育のノウハウ138どんな力が身につくか臨床工学科が育成をめざすのは、次のよう装置の原理、構造、特徴、操作法などの基礎事項と疾患への適応、評価方法を学びます。3年次 3年次 前期の「臨床人間工学」は、人間工学を履修した上で、医療機器操作に関わる人や環境を想定し、原因分析や問題解決手法、さらに臨床での安全確保や医療機器インターフェース設計に役立つ応用技術を学びます。認定人間工学専門家の資格を持つ臨床工学技士の教員が担当します。システム制御工学系の科目では、システム制御の仕組みや基礎理論に関する学習を演習・実習を通して行います。病院情報システムの基本構造や医療現場のセキュリティ対策、プログラミング技術についても学びます。また、3年次より医療現場での実践能力を身につけるための実習が増えていきます。4年次 4年次 「臨床工学セミナー」で、医療従事者としての将来像を考え、最新の診断技術や治療装置、治療法の動向について学習します。「臨床実習」では約1か月半にわたり、臨床の現場に身を置き、臨床工学技士が行う業務の実際、臨床工学の実践を観察。チーム医療の重要性を体験的に学び、臨床工学技士としての心がまえや使命感、倫理観を養います。「卒業研究」では4年間の学びを総括し、臨床工学関連分野の動向分析や問題提起を自主的に進め、研究テーマを設定。担当教員の指導のもと、実験・測定・分析・評価・考察を行い、論文にまとめます。研究内容は卒業研究発表会でプレゼンテーションします。臨床機器・実習機材を豊富に配置「看護医療棟」に、臨床工学実習室を設置。さらに基礎工学実習室と基礎医学実習室を別棟に置き、さまざまな実習で活用しています。臨床工学実習室人工呼吸器、人工心肺装置、血液浄化装置など、臨床工学領域に関連するさまざまな医療機器を配置しています。基礎医学実習室人体模型、解剖セット、人体測定器、顕微鏡のほか、さまざまな生体計測機器、医療器具を配置しています。基礎工学実習室電磁気回路実習装置のほかさまざまな電気電子・情報関連の実習機材を配置しています。な人材です。①チーム医療の実践臨床工学の専門的な知識と実践的技術を持ち、医療機器を安全に有効に取り扱えること。チーム医療の中で臨床工学技士の役割を果たせること。②高度な医療機器に関する技術を体得幅広い視野や豊かな人間性を持ち、医師の指示のもと生命維持管理装置の操作や保守点検を行えること。③コミュニケーション能力直接的あるいは間接的に患者に接するため、患者中心のコミュニケーションができること。④研究開発の基礎的素養高度化する医療技術・医療機器に関する専門知識と技術を身につけ、医療機器を研究開発するための基礎的素養があること。⑤医療機関で活躍できる人材卒業後、医療機関で生命維持管理装置の操作や管理業務に携われること。臨床工学科の卒業生が進む進路は、おもに病院や診療所などの医療機関であり、血液浄化装置、人工心肺装置、人工呼吸器などの生命維持管理装置を用いた治療、機器の管理・点検業務に携わります。ほかに医療機器の開発や製造に関わる業務に就くことも想定できます。より専門的な知識や応用力を養うために、大学院に進学する選択肢もあります。国家資格の取得をサポート本学科では臨床工学技士の国家試験合格率100%をめざし、3年次から国家試験対策演習を実施しています。国家試験と同程度の内容の学内模擬試験を実施し、全国統一模擬試験にも参加。早い時期での弱点克服をめざします。ME資格の取得サポート臨床現場において臨床工学技士の専門分野は細分化されており、就職後は専門分野ごとに学会などの認定試験を受験し、専門認定を獲得していく必要があります。認定試験のうち、日本生体医工学会の「ME技術実力検定試験」は学生も受験できるため、臨床工学技士をめざすほとんどの学生が挑戦しています。3年次までに第2種ME技術者認定を取得できるようサポートしています。医療機器を扱う技術者には、電気・電子工学、機械工学、情報工学などの広範な工学的基礎と人体の構造や機能などの医学的基礎を

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